ブロックチェーンがもたらす未来――ブロックチェーンの進化とクライアントに与える影響

リーガル関連の会合(顧客獲得戦略に関するものも含む)で、私の話を全く理解できていなかった聴衆に対し、「ブロックチェーンについて聞いたことのある人はどのくらいいますか?」と質問したのはほんの少し前、2015年の中頃でした。幸いにして今では、そこにいた聴衆もそのほとんどがブロックチェーンという言葉を耳にしているでしょうし、それが何かを知っている人も中にはいるかもしれませんが……でも、本当に理解できているのでしょうか?

ブロックチェーンは新たな領域でのリーガルビジネスの機会の一例にすぎませんが、これが実質的にはリーガル分野に属するのか、それとも特定の産業なのか、あるいはその両方なのかを見定めるには混乱を伴うでしょう。最近の記事で私が示唆したのは、「私が言うところのテクノロジー主導型ハイブリッドに照準を当ててサービス提供すれば、極めて大きな成長機会が得られるということを、多くの法律事務所が認識し始めている」という点です。これらのハイブリッドは、純粋に実質的なリーガル実務とはいえませんし、正確に産業界の実務としてカテゴライズされているわけでもありません。むしろハイブリッドは、その両方であるといえます。そのため、法律事務所の経営者や法律事務所にとっては、AI企業や、フィンテックといったニッチでAIに大きく影響されうる副次的市場へのサービス提供も選択できるでしょう。

ブロックチェーンに関して興味深いと思うことは、既存顧客の市場において、このテクノロジーによる影響を受け、混乱を生じる可能性のあるものを明らかにすると同時に、この混乱に携わるブロックチェーン「産業」の担い手を特定するということです。

最も基本的な段階として、知的財産でも不動産でも、所有権移転に関わるリーガル業務は、ブロックチェーンと、その台帳や「スマートコントラクト(smart contract)」といったシステムを応用することではるかに効率性を高めることができます。スマートコントラクトのコンセプトは、いったん合意条件が整えば、条件が満たされることで自動的に契約が実行される、ということです。つまり、支払いも引渡しも、その他契約書で定義されたことなら何でも、契約の定めにしたがって実行されるようになるのです。

ブロックチェーンは新たな領域でのリーガルビジネスの機会の一例にすぎませんが、これが実質的にはリーガル分野に属するのか、それとも特定の産業なのか、あるいはその両方なのかを見定めるには混乱を伴うでしょう。

ブロックチェーンが影響を及ぼし始めている産業とその有力企業の一例を紹介します。

エンターテインメント:シンガーソングライターが創設したUjo Musicでは、楽曲所有に関する証明を可能とするとともに、ミュージシャンの印税を追跡します。

保険:AIGでは、国際協調が求められる複雑な保険証書の作成を監督するスマートコントラクトシステムを試験的に運用しています。

不動産:比較的新しい企業であるUbiquityは、法律上の不動産移転を行う際に揉め事や余計な出費を生み出すプロセスを追跡するために、ブロックチェーンを主体とするシステムを開発中です。

サイバーセキュリティGuardtimeは、ブロックチェーンを活用して、100万人以上の市民の医療カルテを安全に保管することを目的とした「キーレス」署名システムを開発している企業です。

ヘルスケア: SimplyVital Healthは、開発中である2種類のヘルス関連のブロックチェーン応用製品を発表しました。「ConnectingCare」は退院後の患者の状態を追跡し、「Health Nexus」は患者の記録を分散管理します。

人材採用:ブロックチェーンを活用したレジュメや履歴書が開発されており、応募者の資格や経歴を検証することで選考プロセスを合理化します。

メディア:Kodakは最近、知的財産権と写真家への支払いを追跡できるブロックチェーンシステムを開発中であることを発表しました。

製造業BlockVerifyは、ダイヤモンド、薬剤、および高級品の偽造防止対策に焦点を当てたブロックチェーン・プラットフォームです。

非営利組織TransActiv Gridはブルックリンを拠点としてLO3エナジー(LO3 Energy)社ともに開発されたビジネス主導の地域プロジェクトで、プロジェクト参加者が地域でエネルギーを生産・販売できるようにすることで流通コストの削減を目指しています。

小売業OpenBazaarは商品やサービスを取引できる分散型マーケットを構築する試みで、中間業者を必要としません。そのうえ、ビットコイン(Bitcoin)での支払いが可能です!

旅行:オンライン旅行会社のWebjetは、ホテルの空室を直前で埋めるためのトラッキングと取引を融合したソリューションを開発しました。

最後に、私が読んだある報告書には、国際金融が今や134兆ドル規模の産業であり、支払いの仲介、ローン、与信などに役立っている中で、ブロックチェーンは、中間業者を排除するトラストレスな(信頼を必要としない)テクノロジーとして、国際金融全体を変革させる可能性がある、と書かれていました。その事例の一部です。

  • 支払い:ブロックチェーンによって、消費者間取引の承認を中間業者に頼る必要がなくなり、銀行を介するより速く、低い費用で支払いを行えるようになります。
  • 清算・決済システム:ブロックチェーンとその台帳を活用すれば、費用を削減し、金融機関の間におけるリアルタイム取引により近づけることができます。
  • 有価証券:株式、債券、代替資産など伝統的な有価証券をトークン化することで、ブロックチェーンにより資本市場の構造が一変する可能性があります。
  • ローンおよびクレジット:ブロックチェーンにより、ローンやクレジット業界の管理者的存在の必要性がなくなり、より低い金利を提供し、より簡単・安全に資金を借りることができるようになります。

これらは、ブロックチェーン技術がもたらす大きな可能性や、クライアントにおける影響の受け方、また、このテクノロジー主導型ハイブリッドに関してリーガル知識を強化させるべき必要性を示すほんの一例にすぎません。

Source:Legal Executive Institute
Author:Patrick J. McKenna
Original Article: 原文

 

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