リーガルテックの変革を永続的なものにするための5つの秘訣

リーガルテックの改革が、新しい機器を買って電源に差し込むだけで実行できるといったシンプルなものであればいいですが、現実には、適切なソリューションを用意するだけでは不十分です。

組織改革は個人の改革から始まります。つまり、新たなリーガル業務プロセスを断行するにせよ、新たなテクノロジーへと移行するにせよ、賢明なプロジェクト計画においては、その成功の定義に「新たな方法」の導入を掲げ、改革のマネジメント、つまり、人間側の改革にリソースをつぎ込むものなのです。

改革マネジメントなんて生ぬるい、「荒唐無稽」だ、と片付けてしまう前に次のことを考えてみてください。CEB社は、改革に関してストレスを抱く従業員のパフォーマンスは平均より5%低下しており、10億ドルの収益に対して3250万ドルの損失に匹敵する影響があることを発表しています。

改革マネジメントは、改革のあらゆる面で全員を満足させるといった魔法のようなものではありません。しかし、従業員を現在の状態から目指すべき将来の姿へ移行させるにあたり、環境整備を行うことでそのストレスを軽減させることができます。つまり、従業員が改革をどう捉えているかを理解し、彼らが抱く改革への不安に対処し、障害を取り除き、そして成功に向けて彼らを教育する、ということです。

次のプロジェクトが社内の受け入れ不足で暗礁に乗り上げる、なんてことはないと保証できるでしょうか?そこで、改革に乗り出す際の必須事項を5つ紹介します。

エグゼクティブプロジェクトスポンサーを採用すること

調査会社プロサイ(Prosci)社の暦年の調査結果によると、プロジェクトの成功において最も重要なのは、十分な影響力を持つ上級幹部からの積極的、且つ、目に見えるエグゼクティブスポンサーシップ(後押し)だといいます。この人物は、予算、そして改革によって影響を受ける従業員に対して権限を持っている必要があります。

スポンサーの役割とはなんでしょう?プロジェクトの経費の承認は間違いなく役割の一つですが、同じように、プロジェクトの始めから終わりまで、積極的、且つ、目に見えるかたちで参加し、スポンサーシップの協調体制を構築し、反対勢力を手なずけ、必要に応じて従業員と直接やりとりをすることも重要です。

従業員を巻き込むこと

目指している改革は避けられない明白なもののように感じるかもしれませんが、これから廃止しようとしているプログラムやプロセスには、担当者としてキャリアを積み、プロフェッショナルとしてのアイデンティティを築いてきた人々がいるということを忘れてはいけません。彼らにとって、この改革は個人的な問題です。彼らが、ただ単に改革に抵抗しているのではなく、新たなテクノロジーによって自らの存在が陳腐化することを恐れているのかもしれないという点を配慮する必要があります。

「早い段階から彼らの意見に真摯に耳を傾けて考慮すれば、プロジェクトの最大の反対者が最大の改革推進者となることもあります」シカゴを拠点とする世界的な銀行、ノーザントラストのエンタープライズ改革マネジメント担当上席副社長のカムラン・タリク(Kamuran Tariq)氏はこう語ります。

WIIFM(メリット)をはっきりとさせること

どのような改革であれ、人々が抱く最大の疑問は「What’s in it for me?(自分にどんなメリットがあるのか?)」という点です。この改革がもたらすものをそれぞれのグループに明確に説明し、これを何度も繰り返しましょう。

例えば、自社のeディスカバリープロセスにアナリティクスを導入しようとしている場合であれば、審査待ちの列に入り込む「ゴミ」が減り、彼らが審査する文書が案件と関連するものである可能性が高くなる、といったことです。

コミュニケーション、コミュニケーション、とにかくコミュニケーション

プロサイ社によると、従業員が抵抗する最大の理由として「認識不足」が挙げられます。コミュニケーションは、常に、そして特に移行期には非常に重要となります。

プロジェクトの期間中とその前後においては、イントラネットポータル、ニュースレター、職員会議、面談、またはデジタルサイネージなど、様々なチャネルを介して改革に関するメッセージを絶え間なく広めるようにしましょう。

なお、従業員個人、チーム、または日常業務などに関係する個人的なメッセージについては、従業員たちは自分の直属の上司から耳にすることを好みます。

教育し、強化すること

プロジェクト計画を大きな成功に導くには、改革の複雑さに応じて、視覚的な学習、座学、またはハンズオン形式など、様々な学習スタイルに対応した研修プログラムを用意することが欠かせません。研修にはデモ、ライブウェビナー、マンツーマン、またはグループでの対面式研修などがあります。

従業員が改革を回避したり、改革から「抜け」たりしてしまう危険性をなくすため、移行期間には、可能な限り重複システムを排除しましょう。例えばeディスカバリーであれば、思い切って既存の案件データを従来のプラットフォームからよりよいプラットフォームへ移行させてみることです。

最後に、改革を持続させるには、パフォーマンス評価基準と新しいシステムの利用とを紐づけることが重要です。幸いにも、ソリューションプロバイダーは、おなじみの製品を売ろうとはしていません。つまり、あなたの組織が新しいツールに投資するのであれば、大抵の場合、改革マネジメントや導入サービスなどを盛り込んだ、完全なサポートモデルやコミュニティ・エコシステムを手にすることになるでしょう。

このように、改革とはプロセスであり、組織全体で取り組むものなのです。

Source: Law Technology Today
Author: April Runft 
Original Article: 原文

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