AI時代に活躍する21世紀の弁護士や法律専門職に向けた 7つの要素からなるラーニングフレームワーク

弁護士そして法律専門職の皆さん、こんにちは。恐らく皆さんは、こんな疑問を抱いているでしょう。自分たちは近い将来AIに取って代わられてしまうのか? 早いうちにコンピューター・プログラミングを学んでおくべきか? いっそリーガル関係の仕事を辞めてしまおうか?(つまり、キャリアを変更してしまうということ!)

大多数のリーガルテック事業者は、AIが皆さんに取って代わることは「ない」と主張するでしょう。AIは単に、平凡な日常業務の大部分を皆さんの代わりに処理するだけであって、皆さんが人間にしかできない付加価値の高い業務に集中できるよう手助けをするもの、というのが彼らの言い分です。つまり、「弁護士とAIが一丸となって、顧客に付加価値の高いソリューションを提供する」ということです。

特に、採用業務や職務指導の現場などでお会いする弁護士の方々の多くは、こうした事業者の言葉に安堵して、AIやその他の新しいプロセスまたはシステムを効果的且つ効率的に活用するには、実際にどのような知識やスキル、思考法を身につける必要があるかについて考察することなく、弁護士業を続けているようです。彼らは、この21世紀に弁護士をより良いものとするためのラーニング&ディベロップメントの手法について、ほとんど労力を費やさないのです。

私は、2014年のはじめから、弁護士のためのラーニング&ディベロップメント・システムを向上させる方法について研究し、検討してきました。私は日本に住み、日本で働いています。だからこそ、特に日本の弁護士や法律専門職に向けて、効果的・効率的なラーニング&ディベロップメントのフレームワークを検討してきたのです。

私は、ラーニング&ディベロップメント、そしてリーガル業界の変革について熟考し、研究した結果、弁護士と法律専門職のための包括的なラーニング&ディベロップメント・プログラムを構成するには7つの要素が必要だと結論付けました。名付けて「ExC7eL™」です。このExC7eL™ モデルでは、弁護士や法律専門職の方々は、以下の領域での成長を目指し、自己の思考法、知識そしてスキルの向上に取り組みます。

  1. 自己理解(being Centered
  2. 継続的学習(Constant Learning
  3. 批判的思考(Critical Thinking
  4. コミュニケーション(Communication
  5. 共感(Compassion
  6. 創造性(Creativity
  7. 関係構築(Connecting

それぞれの要素について説明します。

自己理解(being Centeredとは、個人が、自己のビジョンとミッション(使命) 、自己の核心となるバリュー(価値観)、個人的目標と職業上の目標、そして自己の強みを自覚し、その認識に基づいて日々の業務に臨むことを意味します。

継続的学習(Constant Learningとは 、個人が、生涯学習を通じて思考法の向上に取り組み、身につけるべき重要度の高い能力(例えば、法律知識のアップデート、新しいテクノロジーの活用、ソフトスキルの習得など)を戦略的効果的そして効率的に学ぶ(learn)、学びをリセットする(unlearn)、または学び直す(relearn)ことを意味します。

批判的思考(Critical Thinkingとは、(1)観察力、(2)解釈力、(3)分析力、(4)推論力、(5)評価力、(6)説明力、(7)自己制御力を向上させることを意味します。このトピックの詳細についてはこちら

コミュニケーション(Communicationとは、優れた会話力や文章力を意味します。これには、積極的に傾聴したり上手に質問したりすることや、各々の文化的知性(CQを向上させることも含まれます。

共感(Compassion とは、地域社会やグローバル共同体とどのように関わるかを明確にし、その責任を果たすべく行動すること、そして、各々の感情知性(EQを向上させることを意味します。

創造性(Creativityとは、弁護士業務において、弁護士という立場のみから考えるのではなく、幅広い思考力をもつことを意味します。言い換えれば、問題を様々な視点から見ること、および問題を解決するための様々な可能性や機会を探求することを意味します。

関係構築(Connectingとは、社会的価値を高めるために、ネットワークや共同体とつながりを持つ能力を意味します。これは、継続的に個人のパーソナルブランドを向上させることも意味します。 

これらの7つの領域について、私自身も常に向上に努めています。思うに、これらの領域に長けている弁護士は(弁護士以外の方々も)、ブロックチェーンのような新しいテクノロジーの活用といった、21世紀に活躍し、混沌とした時代の変化に対応するために必要な思考法、知識、スキルを身につけることができるでしょう。

私は今後もこの7要素に関して指導を行い、顧客や志望者がこれらの要素を考察するにあたって支援を行います。今後行うワークショップやトレーニングでは、これらの要素の一つあるいは複数を強化していきます。

ExC7eL™ モデルについて、あなたはどう思いますか? ぜひ、最も共感できる要素とそうでない要素を教えてください。

Source: www.mauricelrabb.com
Author: Maurice L. Rabb
Original Article: 原文

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